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ファイル:Solar eclips 1999 4.jpg

1999年8月11日の皆既日食で見られたコロナ

コロナとは、太陽を取り巻く外層大気のことである。日食などで観測される、太陽の周りに見える自由電子の散乱光を指す場合もある。

太陽の大気は層状を成していて、表面から温度が最低になるところまでを光球、温度最低点からある程度温度が上がっていくところを彩層、温度が急激に上がっていく層を遷移層、そして温度が100万度以上の外層大気をコロナと呼び分けている。

太陽表面が6000度程度であるのに対し、コロナは100万度以上と非常に高温である。高度500kmあたりから温度が上昇し始め、高度2000km付近からわずか100kmほどの厚みで分布する遷移層を境に、1万度から100万度まで急激に上昇する。なぜ温度が急上昇するかは、太陽表面の運動によりひき起こされた波が衝撃波となって温度を上げているという電磁流体波説や、コロナ中の小さな爆発現象が温度を上げているとする説、電流や磁場のエネルギーが熱エネルギーに変換される散逸構造が存在するとする説など諸説ある。しかし、どのような仕組みで太陽のエネルギーがコロナへと運ばれているのか、方法や経路は現在でも完全には解明されていないため、コロナ加熱問題と呼ばれている。

皆既日食の際には肉眼で見ることができる。専用の望遠鏡(コロナグラフ)を使えば、常時観測することができる。但し、コロナは100万度以上の温度であるため、光領域よりはX線領域の放射の方が多い。そのため、コロナの観測には、X線を吸収する大気が存在しない宇宙空間の方が適している。科学衛星「ようこう」に搭載されていた軟X線望遠鏡は、まさにこの100万度程度のコロナが放射しているX線を捉えるための望遠鏡であった。

コロナの中では、太陽フレアやX線ジェットなど、さまざまなスケールで突発的なエネルギーの解放現象が頻繁に起きている。また、コロナ質量放出 (CME) の発生は、主に磁場のエネルギーの解放によるものであり、磁気リコネクション(磁力線のつなぎかえ)機構が非常に重要な鍵を担っていることが、「ようこう」などの観測によってすでに判明している。また、コロナの再構築(リストラクチャリング)現象など、数々の新現象も発見されている。数億度にいたるプラズマの加熱や、光速度近くまで粒子が加速されるなど、プラズマのダイナミックな運動が頻発していることが分かってきている。

2006年9月に打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」に搭載された極紫外撮像分光装置(EIS)は、極紫外域の輝線スペクトルを分光観測し、コロナを形成するプラズマがどのような速度構造を持っているかや、プラズマ中の電子の温度や密度などを観測し、温度を急激に上昇させている機構を、高い空間分解能で詳細に分析できるように設計されている。遷移層やコロナの温度マップ、電子密度マップを作成することが可能である。コロナの加熱機構の解明には、可視光磁場望遠鏡(SOT)やX線望遠鏡(XRT)などと連携した観測が不可欠であり、搭載されたこれらの装置を併用する観測計画が立てられている。

コロナでは、プラズマが非平衡状態になっていると考えられている。 太陽大気には、磁気ループと呼ばれる、ループ状の磁束管やその束が至るところで観測できる。活動領域では、この磁気ループ構造が特に顕著に見られる。これらの磁気ループの運動やループの中でプラズマがどのような運動をしているかを、EISで観測することができる。これにより、浮上磁場領域における磁気ループの浮上や、ループ振動など、個々の磁気ループの変動を捕らえることができる。これによって、コロナ内での磁気エネルギーの蓄積と解放現象のメカニズムが解明されることが期待されている。

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