ジェット気流(ジェットきりゅう)とは対流圏上層に位置する強い偏西風の流れ。
極を中心に特に上空8~13kmに強く吹く。北緯40度程度に観測される寒帯ジェット気流と北緯30度程度の亜熱帯ジェット気流などがある。長さ数千km、厚さ数km、幅100km程度で、風速は30m/sぐらいで中には450m/s近くに達するものもある。
西から東へ向かう航空機は、ジェット気流に乗ることで燃料と所要時間を大幅に短縮することができる。
発見の歴史[]
1930年代半ば、アメリカのパイロットであるウィリー・ポストが世界一周の際にジェット気流に遭遇したと伝えられるが、その後まもなく事故死したため詳細を発表しないまま終わった。欧米では第二次世界大戦中にジェット気流の存在が知られるようになった。ドイツ軍が緒戦でヨーロッパ諸国を空爆したときにジェット気流に遭遇したこと、アメリカ軍の航空機が日本に向かう際に強い向かい風にあったことからその存在が注目されたが、その存在を学術的に解明するまでには至らなかった。
これに対して、日本の大石和三郎高層気象台長(つくば市)は、欧米諸国がその存在に気づく以前の1920年代にこれを発見していたが国外ではこの論文は注目を集めなかった。日本は大戦末期の風船爆弾によるアメリカ本土爆撃にジェット気流を利用した。
寒帯ジェット気流(Jp)[]
中緯度付近に発生するジェット気流で、寒帯前線面に形成される場合、寒帯前線ジェット気流と呼ばれる。傾圧不安定波に対応し、250から300hPa付近の上層で明瞭に見られ、冬に強く、夏には弱まる。
亜熱帯ジェット気流(Js)[]
角運動量が収束する亜熱帯地方に形成され、北緯30度程度をほぼ定常的に吹く西風。200hPa付近に見られ、冬に顕著。
関連項目[]
- 気象
- 偏西風
- アメリカ本土空襲