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ミュー粒子(ミューオン(muon)、μ粒子)とは、素粒子のうちのレプトンの一つであり、素粒子の標準模型では第2世代の荷電レプトンとして位置づけられる。ミュオンと表記することもある。

素粒子としての性質[]

ミューオンは、電気素量に等しい正または負の電荷と1/2のスピンを持つ。静止したミューオンの質量は105.6 MeV/C2電子の約206.7倍の重さ)、平均寿命は2.2×10-6秒で、負ミューオン(μ-)は電子、μニュートリノ、反電子ニュートリノに、その反粒子である正ミューオン(μ+)は陽電子、反μニュートリノ、電子ニュートリノに壊変する。この壊変過程は不安定核のベータ崩壊と同じく弱い相互作用によるものであり、壊変で放出される電子/陽電子はパリティの非保存によりもとのミューオンが持っていたスピンの向きに対して空間的に非対称な分布を持って放出される。同じレプトンとしてはこれよりさらに重いタウ粒子(tauon, τ)があり、電子と合わせてレプトンの三世代構造として知られている。

発見の歴史[]

ミューオンは1937年にカール・アンダーソンとセス・ネッダーマイヤーによって宇宙線の中から発見され、仁科芳雄も独立に発見した。実際の発見は、仁科の方が先であった。発見当初はその質量が湯川秀樹によって提唱された核力を媒介する粒子である中間子と非常に近かったため、μ中間子と呼ばれていた。しかし、核力を媒介しないことが分かり、電子と類似した性質を持つレプトンの一種であることが判明したため、現在ではこの名はほとんど使用されない。

利用研究[]

ミューオンはイオンビーム(粒子線)として世界に数カ所ある中間子工場(Meson Factory)と呼ばれる陽子加速器施設で利用に供されており、素粒子・原子核物理学からミュオンスピン回転(μSR)による物性物理学、物理化学の研究に至るまで幅広く利用されている。また、負ミューオンを用いたミューオン触媒核融合、μ-捕獲X線による非破壊元素分析など、学際的な応用研究も行われている。

国内での研究状況[]

日本では、1978年に東京大学理学部附属中間子科学実験施設(現・高エネルギー加速器研究機構ミュオン科学研究施設)が発足し、1980年に当時の高エネルギー物理学研究所ブースター利用施設の一角に設けられた実験施設で世界初のパルス状ミューオンビームを発生させることに成功した。これ以降、同施設は国内のミューオン利用研究の中心となるとともに世界的にもパルス状ミューオン利用の先導役も果たしていたが、2001年から日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構との協力の下で始まった大強度陽子加速器計画(J-PARC、茨城県東海村)による次世代施設の建設が本格化するのに従い、2006年3月をもってその運転を終了している。なお、J-PARCにおけるミューオン実験施設は2008年度に竣工、翌年度から供用を開始する予定である。

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テンプレート:レプトン

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