定常すべり(ていじょう-)とは、地震学において、沈み込み型のプレート境界(沈み込み帯)の深いところで発生する、振動を伴わないプレートのすべりのこと。非地震性すべりの1つで、もう1つは準定常すべり(スロースリップ)である。また、これに対してふつう「地震」と呼ばれるすべりを地震性すべりという。
接している2つのプレートがお互いに変位するだけのすべりであり、地震波を出さない。そのため、地震計で観測することはできず、変位計やGPSなどによる変位観測、測地などでしか、正確なすべりの様子を知ることはできない。
プレートの境界面にある3種のすべり領域(アスペリティ、遷移領域、安定すべり域)のうち、安定すべり域で起こる。この領域は地下60kmを超える深さのため高い圧力がかかり、温度も高くなって地殻は液体となって存在している(アセノスフェアという)。そのため、大陸プレートはこの深さでは固体として存在せず、固体の海洋プレートが液体のアセノスフェアの中を沈み込む構造となっている。プレート間地震の原因となるプレート同士の摩擦はここでは非常に小さいため、プレートのすべりは非常にゆっくりとしていて、かつ振動を起こさずに安定している。
ただし、この深さにおいては、海洋プレートが地下深くで割れて起こる海洋プレート内地震という別のタイプの地震は発生する。
参考文献[]
- 測地学テキスト 第3部 Hi-netによる微動とゆっくり地震 4.沈み込み帯での巨大地震発生サイクルへの影響 日本測地学会
関連項目[]
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