樽前山 | |
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ファイル:Lake Shikotsu Mt Tarumae01n3200.jpg 支笏湖畔から望む秋の樽前山 右が溶岩ドーム、中央が東のピーク | |
標高 | 1,041m |
所在地 | 北海道苫小牧市、千歳市 |
位置 |
北緯42度41分26秒 東経141度22分36秒 |
山系 | 支笏カルデラ |
初登頂 | 火砕丘、溶岩ドーム (活火山ランクA) |
樽前山の位置
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樽前山(たるまえさん、たるまえざん)は、北海道南西部にあり、支笏湖の南、苫小牧市と千歳市にまたがる活火山。標高は1,041m。支笏洞爺国立公園に属する。風不死岳、恵庭岳とともに支笏三山の一つに数えられる。
山名の由来[]
山名の由来は、アイヌ語で「タオロマイtaor-oma-i」(川岸の高いところ・(そこに)ある・もの)。一般的にアイヌは山に山そのものを指す名前を付けず「これこれという川の上流(水源)の山」という名づけ方をすることが多いので、この言葉は現在の樽前山そのものを指すのではなく、樽前山の南側を下る現在の樽前川を指した言葉である可能性が高く、その水源として樽前山という名になったと思われる。樽前山そのものを指したアイヌ語の名称としては「ヲフイノボリ」が1807年(文化4年)の秦檍丸による東蝦夷地屏風にあり(渡辺2002)、増補千歳市史(1983)ではこれをオフィヌプリohuy-nupuri(燃える・山)と解釈している(ウフィヌプリuhuy-nupuriの方が同じ意味で一般的な表現)。「たるまいさん」、「たるまいざん」とも言う。
火山活動[]
この火山は4万年前に大爆発を起こした支笏カルデラの南縁部に約9000年前に形成された後カルデラ火山である。後述する溶岩ドームを持った、世界的に珍しい三重式火山である。有史以前にも数度大爆発を起こし、道央では鍵層となる軽石噴火を起こしている。江戸時代から明治時代には活発に活動しており1667年(寛文7年)、1739年(元文4年)、1804年(文化元年)、1874年(明治7年)、1909年(明治42年)に噴火を起こし軽石を周囲に降らせている。このため苫小牧市など周辺は至るところに軽石の散らばった火山灰の地層に覆われている。俗に70年周期説も唱えられたが、近年では1981年(昭和56年)に小噴火が見られた程度で、現在は日常的に白い噴煙を上げ続けているのみである。北麓には同じ後カルデラ火山の風不死岳がある。
樽前ドーム[]
1909年(明治42年)の噴火で、山頂には溶岩ドームができた。樽前山熔岩円頂丘として、北海道指定文化財の天然記念物に指定されている。この溶岩ドームは比較的大きい上に、山体とは異なった色(黒色)をしているために目立ち、樽前山を特徴づけている。樽前山は南から東にかけて高山と隣接していないので、これらの方向からは遠くから見てもこの山が樽前山であることを容易に判別できる。つまりこの溶岩ドームが樽前山をランドマークとしやすい山にしているのである。
噴火の影響[]
2000年(平成12年)に有珠山が噴火した際、JR貨物輸送などの北海道の物流は大きな影響を受けたが、もし樽前山が火山灰の広範な噴出を含む噴火をした場合、JR室蘭線・千歳線のほかに新千歳空港が使用不可能になるなど、より大きな影響が懸念されている。いずれも本州と札幌を結ぶ北海道の大動脈である。過去の大噴火の際は、火山灰は日高山脈を越えて十勝地方にまで降灰している。
1878年(明治11年)に樽前山麓を通過したイザベラ・バードは、著書「日本奥地紀行」の中で、火山噴火により立ち枯れた無数の立木の記述をしていることから、火山性のガス(硫化水素、亜硫酸ガスなど)が噴出・流下する危険性も予見される。
風倒木災害[]
火山性の土壌であることはもとより、南側斜面が開けている地形となっていることから、南から吹き込む強風時には山麓の森林が一斉に倒木する被害を受けやすい。古くは洞爺丸台風の際に生じたほか、2004年(平成16年)の台風接近時には国道276号の両側の樹木が一斉になぎ倒され、長期間にわたり通行不能状態が続いた。現在でも道路の両側には、被害を受けた森林の跡地がぽっかりと開く異様な光景を見ることができる。
登山[]
登山ルートは多岐にわたるが、一般的なのは国道276号から北海道道141号樽前錦岡線、林道を通り樽前山7合目登山口の駐車場から登るルートである。子供でも1時間程度で外輪山にたどり着けるため、地元小学校の定番の遠足地になっている。かつては支笏湖側から、苔の洞門と呼ばれる苔の密生した岩肌の間を通る登山道が存在したが、苔の保護及び崩落の恐れにより現在は封鎖されている(苔の洞門は現在再開に向け調査中)。
なお、2001年(平成13年)には、火山活動がやや活発になり立ち入り禁止区域が設定された。現在(2007年(平成19年)6月)も外輪山の内側へは立ち入りが禁止されている。
関連項目[]
- 樽前山神社
- 仏宝寺
外部リンク[]
- 気象庁「火山の観測資料:樽前山」
- 気象庁「火山監視カメラ:樽前山」
- 国土地理院「航空写真:樽前山」
- 国土地理院 地図閲覧システム 2万5千分1地形図名:樽前山
- 樽前山 (千歳市ホーム > ちとせの観光 > 自然・景観 )
参考文献[]
- 渡辺隆「蝦夷地山名辞書 稿-松浦武四郎文献を中心に」『北の山の夜明け』、高澤光雄、日本山書の会、2002年。
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