沖縄トラフとは沖縄の西方の東シナ海で最も深い海域。九州西方から台湾北方まで、琉球列島の西側に沿った円弧状の、長さ約1,000km、幅約100kmの細長い海底の窪みである。最も深い部分で、深さは約2,200メートル。
ユーラシアプレートにフィリピン海プレートが沈み込み、沈み込んだプレートが一旦大陸棚の地底に溜まり、溜まった物質が冷えて更に地中深く落下する際に地表面を一緒に引き込んだ窪地が東シナ海と考えられている。沖縄トラフとはその中心的地域で最も深い海域にあたる。
琉球海溝がフィリピン海プレートの沈み込みで形成されたのとは異なるメカニズムによる地形である。
沖縄トラフの両側の地殻は少しずつ離れていっており、琉球列島側のプレートはユーラシアプレートと異なる方向に移動している別のプレートとみなすことがある。このプレートを沖縄プレートと呼ぶ(ただし、大陸棚側のプレート自体もユーラシアプレートの本体とは異なる動きをしており、揚子江プレートと呼ばれる)。
琉球列島に続く九州や四国などの太平洋側も、前述のようにフィリピン海プレートに引きずられている。この部分は沖縄トラフ周辺に比べて地殻が厚いため、窪地ではなく正断層となり、長い中央構造線が形成されたと考えられている。ただ、九州付近で沖縄トラフと中央構造線の間がどのような構造となっているかは、詳しく解明されていない。
一方南西端は、激しい隆起が起こっている台湾島につながっている。
琉球列島と尖閣諸島は、沖縄トラフを隔てた両側に位置しており、年々その距離は遠ざかっている。