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津波地震(つなみじしん)とは、地震動の大きさに比して、大きな津波が発生する地震のこと。

概要[]

海底において地震が発生し、海底面に地震断層による地殻変動が現れると、それは海水の上下動を呼び起こし、津波を発生させる。通常は、津波を発生させる地震は大規模な地震であり、体感もしくは強震動地震計などにより、津波を引き起こした地震による揺れ(地震動)を感知することができる。一般的に断層運動の大きさ(モーメントマグニチュード)が大きいほど、地震動も津波の規模も大きくなる。

しかしながら、断層運動によって、地震動(揺れ)と津波(海底面の地殻変動による海水の上下動)がそれぞれ生じるのであって、地震動が津波を引き起こすわけではなく、地震動と津波は原因は同じだが別の現象であるともいえる。よって地震動と津波の大きさがリンクしない場合もあり、極端なケースになると、体感もしくは地震計によって観測した地震動は比較的小規模であるにも関わらず、大きな津波が発生する場合もある。このタイプの地震を津波地震と呼称する。

津波の波高が大きいことから、海水の上下動の差=地殻の変動量自体は大きい。大きな地殻変動が通常の地震よりも長い時間をかけて発生することで、有感となるような短周期の地震動をあまり生じさせることなく大きな津波を発生させることで、津波地震となる。一般に地震断層の破壊伝播速度は、通常の地震ではおおむね秒速2.5~3km程度であるとされる。しかし津波地震では秒速1km程度の場合が多い。このような地震では強震動をあまり生じさせないが、津波の波源域は津波が拡散するよりも早く数分以内の短い時間で広がるため、津波が大きくなる。破壊伝播速度がこれよりさらに十分遅い場合は、津波の波源域が広がる前に津波が拡散してしまい、大きな津波も発生しなくなる。

日本におけるこのタイプの地震の例としては、1896年明治三陸地震津波があげられる。M8.2~8.5の非常に大きな地震であったことが明らかになっているが、地震動は最大震度3程度と小さく、避難した人が少なかったため、被害が拡大した面がある。この地震では三陸海岸各地で10m以上の津波が押し寄せ、最大で38.2mにも達した。 1605年慶長大地震房総半島から九州にまで津波が襲い、溺死者5,000-10,000人とされているが阿波宍喰以外での地震被害は知られていない。

地震学では一般的に、実体波マグニチュードに対してモーメントマグニチュードや津波マグニチュードが1以上大きくなるような地震が津波地震に分類される[1]。世界的には、上述の明治三陸地震のほか、1992年ニカラグアの地震などがよく知られている。スマトラ島沖地震アンダマン地域(地震断層の北部)では津波地震の様相を呈していたとの指摘もある。

脚注[]

  1. この目安は概ねM5~M7程度で適用される。実体波マグニチュードが8以上になると、マグニチュードの「頭打ち」によりモーメントマグニチュードとの差が大きくなるが、このことをもって津波地震と判断されることはない。

関連項目[]