日本・気象庁が発令する 津波の情報 | |
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その他の国に関しては津波の警報体制参照。 |
津波警報(つなみけいほう)とは気象庁が地震の発生により大きな津波が予想される場合に発表する、津波に関する警報・注意報の一種である。基本的に、津波の発生場所が日本の沿岸から600km以内の近地津波の場合には何らかの津波に関する警報・注意報・予報が発表される。気象庁は地震の発生から概ね3分以内(日本近海の場合)を発表の目標とし、津波の到達が予想される沿岸地域と時刻、高さを発表する。
概要[]
津波警報のシステムは1952年4月1日より開始されたが当時、発表に要する時間は数十分であり内容も部外者には分かりにくい電報書式だった(予報対象区にツナミナシ、ツナミオソレ、ヨワイツナミ、オオツナミ、ツナミカイジョ。1978年の宮城県沖地震では「5区(東北地方太平洋沿岸) オオツナミ」が“ゴクオオツナミ”と表記されたため、対象自治体の一部に「極大津波」と誤解された)。1983年の日本海中部地震では地震の発生から14分で大津波警報が発表されたが、一部の沿岸にはそれよりも早く7分後に第一波の津波が到達した。
1985年より津波警報が発表されると放送局(主にNHK)から緊急警報放送が送出されるようになった。しかしながら1993年に起こった北海道南西沖地震の際には5分で大津波警報が発表されたものの奥尻島には津波警報発表とほぼ同時、またはそれよりも早く津波が到達した。さらに実際の発表時、放送局は気象庁からの予報文をそのまま読むことが規定されていたことから津波の高さに関して高をくくった住民などが少なからずいたため犠牲になった住民も多数いた[1]。これらの地震津波による被害は甚大で、さらなる時間短縮および予報文の変更が求められた。
これらを踏まえ気象庁は1999年4月1日より、独自開発した新しい津波の予報システムを導入した。それはあらかじめコンピュータで様々な規模の地震をシミュレーションして、津波がどの地域にどれほどの時間でどれくらいの高さで到達するかという計算結果をデータベース化し保存しておくというものである。そして地震が起きた際には即座に地震の規模、震源の位置を割り出しデータベースの中からその地震と最も似たパターンの地震を探しだし津波の発生が予測される場合には修正を加えて発表するのである。これにより発表に要する時間は3分程度に短縮され、同時に津波予報区を修正し全66区とした。さらに、放送局から送出される気象庁からの予報文も見直しが行われた[2]。また、発表される津波の高さも8つの大きさに分けた。なお、2007年11月28日より細かな海底地形を考慮するなどして津波データベースが更新されている。
ただし気象庁が使用しているシミュレーションは傾斜角45度の逆断層型を想定しているため、横ずれ断層であった場合には予報より津波は小さく観測される(2002年に発生した石垣島近海での地震では2mの津波高さ予想がされたが、実際は潮位が微小に変化しただけ)。また、気象庁マグニチュードと比べモーメントマグニチュードが小さい場合にも予報より津波は小さく観測される。このため2007年7月2日より地震発生後10から20分で地震発生メカニズムを解析し津波の第1、2波を監視した後、早期解除を行える運用を開始した。なお横ずれ断層の解析は南海・東南海・東海海域のみで2008年3月27日からは対象海域が千島海溝、日本海溝の周辺海域に拡大されている。
地震の規模、震源の位置の割り出しに1、2分はかかるため、これ以上の時間短縮は難しいとされているが2006年10月2日からは緊急地震速報の技術を活用することにより一部の地域では最速2分以内に津波警報等を発表することが可能となった。これまで2007年の能登半島地震、新潟県中越沖地震、2008年の福島県沖の地震、2010年の沖縄本島近海地震と父島近海の地震の5回運用され能登半島地震は発生後1分40秒、新潟県中越沖地震は同1分、福島県沖の地震と沖縄本島近海地震、父島近海の地震は同2分で発表された(5例共、NHKでは地震発生後に報道特別番組が実施されたがそれが開始される前に津波注意報及び津波警報の発表を報道することができ、さらに4、5例目の場合は津波警報・注意報発表と同時に緊急警報放送を実施することができた)。
津波警報の伝達が間に合わないケース[]
以上のように津波情報伝達においてはかなりの迅速化がされているものの震源が海岸にほど近い地点であった場合は地震発生から1~2分以内にあるいは発生後揺れが収まらない内に津波が到達することもあり、今後も警報・注意報の発表が津波到達時刻に間に合わない事例の発生が考えられる(現実に、津波警報等の発表の時点で第1波の到達予想時刻が「すでに到達と推測」となっていたケースは1999年以降でも幾つか存在する)。ゆえに海岸付近の住民は揺れを感じたら津波警報の発表を待つまでもなくすぐに津波の襲来を考えて、安全な高台に避難する事が第一優先といえる。
津波警報の種類[]
津波[]
- 高いところで2m程度の津波が予測される場合に発表
- 発表される津波の高さ - 1m、2m
大津波[]
- 高いところで3m以上の津波が予測される場合に発表
- 発表される津波の高さ - 3m、4m、6m、8m、10m以上
津波、大津波とも津波警報の一種なのだが「津波の津波警報」や「大津波の津波警報」などといった呼び方ではかえって聞き手(報道を伝えられる側)に分かりにくくなるため「津波」の場合は単に津波警報と、「大津波」の場合は大津波警報と報道される。なお過去に大津波警報が発表された例は1953年の房総沖地震、1983年の日本海中部地震、1993年の北海道南西沖地震、2010年のチリ地震の4例(2、3例目の地震では警報の伝達が津波来襲に間に合わなかった)。
テレビ・ラジオにおける報道体制[]
NHK[]
- 緊急警報放送
- NHKでは津波警報の発表と同時に、全ての放送に割り込む緊急警報放送を実施。国際放送NHKワールドを含む全波で津波関連のニュース速報、報道番組に切り替わる。
- 緊急警報放送の放送中、画面では全画面の日本地図で大津波警報、津波警報、津波注意報が発表されている津波予報区が表示される(この画面では出されている津波に関する警報・注意報の区分に応じて、津波予報区ごとに海岸を黄色(注意報)、赤色(警報)、赤・白色(大津波警報)[3]に色分けして点滅させ警報・注意報発表の旨を伝える。なお、この画面では画面右下角に色分けの凡例が表示されるほか、沖縄地方は左上に、小笠原地方は右下の凡例表示の上に表示される)。
- 津波予報区ごとの津波に関する情報
- 緊急警報放送終了後、アナウンサーが「(大津波警報・)津波警報・津波注意報が発表されました。(大津波警報・)津波警報が発表されているのは次の沿岸です・・・、津波注意報が発表されているのは次の沿岸です・・・」と述べて、津波に関する警報・注意報の区分ごとに発表されている津波予報区が伝えられる。
- 緊急警報放送終了後、画面では津波に関する警報・注意報が発表されている津波予報区を示した全画面の日本地図のほか、津波に関する警報・注意報が発表されている各地方ごとの詳細地図もあわせて放送される(この画面の地図では前記の色分けがなされているほか、各津波予報区ごとに予想される津波の高さが表示されている)。また、これらの日本地図が表示される際には、在留外国人向けに副音声(教育テレビ、NHKワールド・プレミアムを除く。ただし、NHKワールド・プレミアムでも状況により行う場合がある)及びラジオ第二放送で英語、中国語、韓国・朝鮮語、ポルトガル語(英語以外は2007年12月から)による津波報道放送をしている旨、「Tsunami Warning」の表示(赤地に白抜文字)と「Subchannel or Radio2」の表示(白抜文字)が画面上に出される。
- 副音声では、緊急警報放送の直後、まず、日本語で津波警報(あるいは大津波警報)が出された旨が2度伝えられ、それに続いて「NHKでは津波警報(大津波警報)についての緊急ニュースを英語を中心に、中国語、韓国・朝鮮語、ポルトガル語でお伝えします」とアナウンスが入る。そして、各言語で津波警報(あるいは大津波警報)の発表が各言語で伝えられ、その後、津波警報(あるいは大津波警報)や津波注意報の発表されている津波予報区が各言語ごとに繰り返し放送される。
- 画面上の字幕スーパー等は全画面の日本地図による津波に関する警報・注意報の表示が一旦終わった後に入ることになる。国際放送NHKワールド・プレミアムでは逆U字画面のみが表示され、画面上の字幕スーパーおよび発表域の地図テロップは一切表示しない(ニュースセンター側で出される発表域の地図テロップはそのまま表示される。また、逆U字画面スペースの画面上に「この時間は予定を変更して津波関連のニュースをお伝えしています」のテロップが関連ニュースが終わるまでの間、常時表示されたり、「このニュースは日本時間○:○○で終了します」のテロップが表示されることがある)。
- その他の情報
- 「第1波到達予想時刻・予想高さ」の画面では、津波に関する警報・注意報の区分(大津波警報・津波警報・津波注意報)ごとに、津波に関する警報・注意報が発表されている津波予報区、その津波予報区での第1波到達予想時刻・予想高さが示される。
- このほか津波が観測された場合には観測地点と津波の高さが示される。
民放[]
- 民放各局でも津波警報、津波注意報が発表した際には画面の角に発表域を該当地中心の日本地図の海岸を黄色(注意報)ないし赤色、橙色(警報)、赤・白色、桃色(大津波警報)で示し、警報・注意報発表の旨を伝える。先頭レイヤーで放送されるため、本放送の字幕などがこの表示に重なり隠される。この地図表示は特に津波警報、大津波警報発表時はCM中も消されることなく表示されることがある[4]。また、同じ系列局でも津波の可能性が低い地域では表示しない場合がある。
- なお、NNNでは地上波(日テレ・地方局問わず)・衛星放送問わず日本国外で起きた地震に伴う津波警報・注意報発令で「速報」として字幕情報はすぐ流すものの、「警報」・「注意報」が発令されている「日本地図」の表示はすぐに行わない場合がある。
- また、CS放送では左上(チャンネルによっては右上)に津波警報[5]発令中を示すアイコンを表示するのみである。なお、QVCでは、2010年2月の「チリ地震」による津波の第一波到達時刻と波高及び最大波の到達時刻と波高を「QVC津波情報」として流した。
脚注・参考資料など[]
- ↑ 瀬棚町(現・せたな町)の工事現場では「3m以上に達する見込み」と放送された報道を「3mくらい」と誤解、避難が遅れて工事現場宿舎が流されてしまい犠牲になった関係者もいる。
- ↑ 放送局側で「場所によっては予報より高い津波が来襲する」とか「津波は1回目よりも2回目以降の方が高くなることがある」など、素早い避難を促す文言を付け加えるようになった。
- ↑ 1993年7月12日の「北海道南西沖地震」でNHKでの「大津波警報」は、「津波警報」と同じ赤色の表示だった。また、当時は地図に「大津波警報」の区分けも無かった。但し、22時21分ころから緊急警報放送が実施された22時24分47秒までNHK札幌から伝えた関連情報では文字で大津波警報の表示を行った。
- ↑ 2010年2月28日の放送時で全ネット局で確認。これは、バンクーバーオリンピックのフィギュアスケートエキシビション放送と東京マラソン2010でも行われた。フィギュアスケートの場合、日本人選手の競技時のみ地図はなく、右マスコット表示。BS局はBS1やBS2も含めて全局で表示され、地図表示と上部表示に別れていた。
- ↑ 一部のチャンネルでは注意報発令中にもアイコンを表示。チャンネルにもよるが、送出マスターから出されるテロップでアイコンを表示するのと、データ放送による文字スーパーでアイコンを表示する2つのパターンがある。
関連項目[]
外部リンク[]
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id:Sistem peringatan dini tsunami lv:Cunami brīdinājuma sistēma