温室効果ガス(おんしつこうかガス、Greenhouse Gas, GHG)とは、大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより温室効果をもたらす気体の総称である。
対流圏オゾン、二酸化炭素、メタンなどが該当する。近年、大気中の濃度を増しているものもあり、地球温暖化の主な原因とされている。
京都議定書における排出量削減対象となっていて、環境省において年間排出量などが把握されている物質としては、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)(=一酸化二窒素)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類がある。
最新のIPCC第4次評価報告書では、人為的に排出されている温室効果ガスの中では二酸化炭素の影響量が最も大きいと見積もられている(地球温暖化の原因を参照)。これに対する懐疑論も見られるが、多くは反論されている。
水蒸気も温室効果を有するものの、蒸発と降雨を通じて宇宙空間へ向かって輸送する働きも同時に有する。全体的には上記のような物質が気候変動の引き金となり、水蒸気はその効果を増幅するとされる(地球温暖化の原因#影響要因としくみを参照)。この水蒸気の働きの一部だけを捉えて温暖化に対する懐疑論を主張する者もいる(地球温暖化に対する懐疑論#赤外吸収に対する飽和および水蒸気の寄与を参照)。
地球温暖化係数[]
二酸化炭素を基準に、その気体の大気中における濃度あたりの温室効果の100年間の強さを比較して表したもの[1]。
気体名 | 地球温暖化係数 | |
---|---|---|
1 | 二酸化炭素 | 1 |
2 | メタン | 21 |
3 | 一酸化二窒素(亜酸化窒素) | 310 |
4 | トリフルオロメタン | 11,700 |
5 | ジフルオロメタン | 650 |
6 | フルオロメタン | 150 |
7 | 1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン | 2,800 |
8 | 1,1,2,2-テトラフルオロエタン | 1,000 |
9 | 1,1,1,2-テトラフルオロエタン | 1,300 |
10 | 1,1,2-トリフルオロエタン | 300 |
11 | 1,1,1-トリフルオロエタン | 3,800 |
12 | 1,1-ジフルオロエタン | 140 |
13 | 1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン | 2,900 |
14 | 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン | 6,300 |
15 | 1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン | 560 |
16 | 1,1,1,2,3,4,4,5,5,5,-デカフルオロペンタン | 1,300 |
17 | パーフルオロメタン | 6,500 |
18 | パーフルオロエタン | 9,200 |
19 | パーフルオロプロパン | 7,000 |
20 | パーフルオロブタン | 7,000 |
21 | パーフルオロシクロブタン | 8,700 |
22 | パーフルオロペンタン | 7,500 |
23 | パーフルオロヘキサン | 7,400 |
24 | 六フッ化硫黄 | 23,900 |
排出状況[]
世界の排出量[]
世界の主要国の排出量は、2005年時点で二酸化炭素に換算して約266億トンに達している[2]。2005年時点での各国の排出量は、アメリカ(22%)が一番多く、それに中国(19%)、ロシア(5.8%)、日本(4.7%)、インド(4.5%)、ドイツ(3.0%)と続く。
また国連の下部機関であるUNFCCCの集計結果が、温室効果ガスインベントリにて公表されている。
日本の排出量[]
日本における温室効果ガスの排出量は、2007年度は前年度よりも2.3%増加して過去最高を記録し[3]、二酸化炭素に換算して13億7100万トンになっている[4]。これは京都議定書の基準年(1990年)に対して8.7%の増加となっており、2008年 - 2012年の平均値として約束した-6%を達成するには現状よりも最低9.3%の削減が必要になっている[4]。世界の排出量に対しては約5%を占めている[5]。また一人あたりの排出量では2005年時点で4位である[6]。
詳細な数値は、日本国温室効果ガスインベントリにおいて公表されている。これは日本から正式にIPCCに提出されている値である。
脚注[]
関連項目[]
外部リンク[]
- 「Greenhouse gas」 - Encyclopedia of Earthにある「温室効果ガス」についての項目(英語)。
- 温室効果ガス算定・報告制度
- 温室効果ガス算定・報告マニュアル
- Greenhouse Gas Protocol(日本語訳)
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