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ファイル:Types of earthquakes ja.png

地震の4タイプ。×が火山性地震。

火山性地震(かざんせいじしん、volcanic earthquake)とは、地下でのマグマの移動などの火山活動によって発生する地震。発生のメカニズムが通常の地震とは異なり、余震前震がなく、本震のみが単独で発生するとみなされている。

火山性地震のメカニズム[]

火山周辺の地下には、マグマの通り道となるところがある。この通り道は比較的頑丈で、普段は崩れたりすることはほとんどない。しかし、マグマが上昇してくると、圧力がかかる上に温度も上昇する。特に地上に近いほど、地下にも水分が含まれており、マグマで熱せられた水分が蒸発して体積が数千倍に増し、圧力も一気に高まる。すると、圧力に耐え切れなくなったマグマの通り道では岩盤が割れて地震が発生する。また、マグマによって圧力が高まった後、マグマが通り過ぎたことで圧力が下がり、押さえつけられていた岩盤が崩れることによっても地震が発生する。

マグマの移動は噴火に関係なく起こりうるが、火山の噴火が迫っている可能性もある。そのため、マグマの移動を火山性地震の観測によって捉え、その火山の火山性地震と噴火のパターンを研究し、噴火予知に生かしている。日本では、数十の活動的な火山に地震計をはじめとした計器や観測所が設置され、気象庁の火山情報などで警報体制が構築されている。

火山性地震は一般的に規模が小さく、無感(震度1より小さい)地震となることが多い。また、地震の周期も多種多様である。火山の周辺では周期別にいくつかの種類の精密な地震計を設置して観測を行う。

火山性地震の種類[]

火山性微動[]

火山性脈動とも呼ばれる。短いものから数日以上続く長いものまである。

火山性連続微動
比較的長期間続き、活動的な火山では常時発生している。振幅は非常に小さい。火山活動が活発になると、振幅が大きくなったり、微動がとまったりすることがある。
孤立型微動
突発的に発生する短い微動。火山性連続微動とは周期が少し異なる。振幅はやや小さい。
孤立微動
やや長時間続く微動。振幅は大きい。

火山性地震[]

厳密には、火山性地震は「火山の近くで発生する、震源の深さが10km以浅の地震」と定義される。

A型地震
10km以浅の中で比較的深いところで発生する。地震の波形は最初の波が一番大きくて次第に小さくなり、ほぼ三角形となる。P波S波の区別がしやすい。震動の周期は短い傾向にある。
B型地震
多くが震源は1kmより浅く、非常に浅いところで発生する。地震の波形は一定のリズムで大小を繰り返すような紡錘形となる。P波とS波の区別がしにくい。震動の周期は長い傾向にある。
爆発地震
地震の波形は最初の波から急激に大きくなってその後大小を繰り返しながら次第に小さくなり、紡錘形に近い三角形となる。震動の周期がほぼ一定となる。D型地震噴火地震などとも呼ばれる。
T型地震
はじめは周期が短く、だんだんと周期が長くなるとともに周期が一定して長時間継続する。安山岩質の火山に多い。N型地震とも呼ぶ。
深部低周波地震
比較的深いところを震源とする。地震の波形は、周波数の低い波を含む波形となる。

被害を出した火山性地震[]

火山性地震は有感となっても規模が小さいが、稀に単独で被害を出すような地震となることもある。

  • 1914年1月12日 - 桜島地震、M 7.1、死者29名、負傷者111名。桜島は同日に噴火。
  • 2000年7月1日(M 6.5)7月15日(M 6.3)7月30日(M 6.5) - 新島・神津島・三宅島近海で地震、死者1人。三宅島は同年8月10日に噴火。

関連項目[]