火山災害予測図(かざんざいがいよそくず)または火山ハザードマップとは、火山活動に際して、予想される火山災害を図示したハザードマップの一種。
概要[]
火山災害は、降灰・溶岩流・火砕流・熱泥流など、多種多様の災害で構成されている。しかも、火山によって、発生する災害の種類は異なっている。火山災害の発生時期を予知する事は、困難なケースもあるが、発生する火山災害の種類を予測すること、およびその被害範囲を予想することは、過去の火山噴火を地学的に調査することにより把握することができる。
火山災害予測図が大きく注目されるようになったのは、1985年のコロンビアのネバドデルルイス火山の噴火の際である。この噴火により、山頂の積雪が溶け、大規模な泥流が麓のアルメロ市を襲い、死者2万5千人を出し、町は壊滅した。この泥流災害は予測されており、被害範囲を示した火山災害予測図が作成されていたが、結局噴火まで注目されなかった。また、このような分かりやすい予測図が作成されていたにも関わらず、有効に活用できなかったことも大きく指摘された。
日本の場合[]
日本においても、1983年に北海道駒ヶ岳で初めて火山災害予測図が作成されたが、これは住民への公開はなされなかった。住民に公開された火山災害予測図は、1986年の十勝岳のものである。これは、十勝岳がネバドデルルイス火山同様、泥流による災害を受けやすく、短時間での避難が求められるためである。
その後、予算や住民および観光客への影響の問題により、日本全国的な火山災害予測図の整備は迅速には進んでいないが、2003年までに33の予測図が作成されている。
2000年の北海道・有珠山においては、事前に各家庭に予測図が配布されていたこともあって、自治体・住民における災害対応活動に生かすことができた。