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過冷却(かれいきゃく)とは、物質の相変化において、変化するべき温度以下でもその状態が変化しないでいる状態を指す。たとえば液体凝固点(転移点)を過ぎて冷却されても固体化せず、液体の状態を保持する現象。であれば摂氏零度以下でもなお凍結しない状態を指す。第一種相転移でいう準安定状態にあたる。

概説[]

物質は一般的に固体液体気体の三つの相を持ち、それらは温度圧力の影響の元で決定される。詳細は相転移を参照されたいが、おおよそ温度が下がるにつれて気体→液体→固体へと変化し、その変化する温度は沸点・融点と呼ばれて物質の特性とされる。しかし、現実にはこれにあわない例が往々にして出現する。

液体を構成する分子が結晶化過程(第一種相転移)に移行するためには、物理的刺激によって核となる微小な相を生成させる必要があるが、過冷却においては微小相の発達が不十分で、相転移が行われない。このため極めて平静な、安定した状況で発生しやすい。

なお過冷却と逆の状態が過熱である。沸騰も第一種相転移現象の為で、何らかの刺激によって微小な気相が発生すると一気に沸騰する突沸という現象が起こる。

具体例[]

たとえば水を冷却してゆくとその融点である0℃で凍るのであるが、ごくゆっくりと温度を下げてゆくとより低温の水が得られる場合がある。その状態が過冷却にあたる。自然現象の雨氷霧氷も過冷却によるものである。

過冷却状態にある水に何らかの刺激(振動など)を加えると、急速に結晶化する(接種凍結)。瓶に入っていれば叩いただけでみるみる凍結し、別の容器に移し替えようとすると注がれながら凍っていくので柱状の氷が形成されたりする。例えば、冬季に暖房をしていない暗室フィルムや印画紙を現像する作業室)において、現像停止用の氷酢酸(融点16.6℃)を試薬ビンからほかの容器に注ぐときなどに、経験することができる。


関連項目[]

  • 相転移
  • 雨氷
  • 霧氷
  • 過熱
  • 突沸
  • 沸騰石

テンプレート:物質の状態

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