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長周期地震動(ちょうしゅうきじしんどう、英語:long-period earthquake ground motion)は、地震発生時に通常の震動とは異なり、約2~20秒周期で揺れる震動のことである。

このような長い周期での震動は、超高層ビル固有振動数と一致しやすい。今までこのような震動に対して設計段階での対策が取られてこなかったため、従来地震に強いとされてきた超高層ビルに対して破壊的ダメージをもたらすものと懸念されている。また、近年注目されている制震構造免震構造建物においても、このような震動が考慮されてこなかったので研究が急がれている。

低層建築物中層建築物などではほとんど揺れを感じないが、高層建築物などでは高い階に行けばいくほど揺れが強くなる。マグニチュード8クラスの地震が新潟県中越地方で発生したと想定し名古屋市内にあるビルの30階の揺れを再現したところ、1周期だけで約10メートルほどまで大きく揺れる。逆に短周期の場合は低層建築物に揺れが生じ、高層建築物に揺れが起きにくい。

長周期地震動の原因は地下構造にあり、沖積平野埋立地などの軟弱地盤で起こりやすい。1985年メキシコ地震では、メキシコシティ(湿地帯を埋め立てた軟弱地盤である)で最大2秒の長周期地震動が観測され、共振により高層ビルやホテル、高層住宅など多くの建物が倒壊した。この地震は長周期地震動による最大の災害であるが、当時は建物の建築基準の甘さが建物倒壊の原因だとされたため、近年になってようやく実態が判明した。


近年の日本国内の例で見ると、2003年平成15年十勝沖地震の長周期地震動によって、北海道苫小牧市石油コンビナートでスロッシング(タンク内の石油の共振)により溢れた石油に引火して火災が発生したり、2004年新潟県中越地震の長周期地震動によって、震度3だった東京都港区六本木ヒルズでエレベーター6機が損傷するなどしている。しかもこの時、地震が発生しているにもかかわらず、地震管制運転装置が設備されていたのに作動しなかったという。


このようなことから、長周期地震動による地震が発生した場合、避難する行動を取ることが困難になることが多く、被害が拡大することに繋がりやすいため、抜本的な地震対策が求められる。

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