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航空機から見る層積雲

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(くも)とは、大気中にかたまって浮かぶ水滴または氷の粒(氷晶)のことを言う。地球に限らず、また高度に限らず、惑星表面の大気中に浮かぶ水滴や氷晶は雲と呼ばれる。雲を作る水滴や氷晶の1つ1つの粒を雲粒と言う。地上が雲に覆われていると、となる。

などの降水現象の発生源となる現象であり、気象学の中には「雲学」という分野も存在する。

雲の発生・成長・消滅[]

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地球上の雲を概観した衛星画像

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積乱雲

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上空から見た雲

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水面近くにできた層雲

Cumulus clouds panorama

積雲(オーストラリアヴィクトリア州

物理化学的特徴[]

空気中の水蒸気凝縮(凝結とも言う)されて液体)になるか、凝固されて固体)になることで雲が作られる。主な雲の発生の種類3つを挙げる。

  • 断熱膨張(加熱→冷却) : 太陽放射などで空気が暖められると断熱膨張を起こして上昇し、次第に温度が下がる。空気の温度が露点温度を下回って過飽和となると、雲粒が発生して雲が形成される。
    • 前線面で暖気が寒気の上を上昇するパターン、山に沿って空気が上昇するパターン、太陽放射により地表が温められて対流が発生するパターン、暖気が冷たい海面などに接触するパターンなどがある。
  • 寒気と暖気の衝突(冷却) : 温度の異なる2つの空気の塊(気団)が衝突すると、暖かいほうの空気は冷やされて温度が下がる。露点温度を下回って過飽和となると、雲粒が発生して雲が形成される。
  • 蒸発による過飽和 : 温度が変化しない場合でも、蒸発によって湿度が上がり、露点温度が上昇する。露点温度が気温より低くなると過飽和となり、雲粒が発生して雲が形成される。

雲を作る雲粒は、空気中に浮かぶやほこりなどの浮遊粉塵(エアロゾル)を凝結核もしくは凝固核としてつくられる。そのため、エアロゾルが多いと水蒸気が凝結(固)しやすくなり雲は発生しやすくなる。また逆に、エアロゾルが少ないと過飽和となっても水蒸気が凝結(固)しにくいため、雲もできにくくなる。

雲粒同士が衝突したり、雲粒にさらに水蒸気がくっついて凝結(固)していくなどして雲粒は成長し、直径が大きくなる。雲粒に働く重力や下降気流による力と、雲を支える上昇気流による力がつりあうことで雲は大気中に浮かぶ。重力や下降気流の力が大きくなってバランスが崩れると、雲粒は雨粒や雪の結晶として落下することとなる。あまり大きくない雲粒の場合は、上昇や落下を繰り返すうち、雨粒や雪の結晶同士が衝突してさらに大きな粒となって、やがて落下する。

空中に浮かぶ雲粒の大きさは、平均で10μm(0.01mm)である。一方、雨粒の大きさは1000μm(1mm)を超える。雲粒は前述のような過程を経て雨粒となり地上に落下する。この成長の計算はメイスンの方程式などにまとめられている。

形成される雲の形は、空気の対流構造や、温度差のある空気の衝突面の形によって左右される。強い上下対流がある場合は積雲積乱雲が形成されることが多く、大気が安定している場合は水平方向に層雲高層雲などが均一に広がることが多い。また、山などの地形の影響を受けた場合は、レンズ雲波状雲などの特徴的な雲ができる。

気象学的な成因[]

気象学的な観点から雲の発生・成長・消滅を説明する。雲の成因はいくつかに分けられる。

  1. 地形の影響や気団の衝突などにより、空気塊(気塊、air parcel)が強制的に上昇させられて起こるもの。
    • 風が山などを越えるとき、強制的に空気塊が上昇させられると、膨張・冷却が起こってやがて雲ができる。前線の場合は、温暖前線では寒気の上に暖気が乗り上げて上昇、寒冷前線では暖気の下に寒気が入り込んで暖気が上昇、停滞前線閉塞前線では温暖・寒冷の2パターンが同時に起こり、山と同じように雲ができる。
    • 山の場合は山頂を越えて下降し始めると空気塊が圧縮・加熱されて、雲が蒸発して消える。また、乾燥空気のほうが湿潤空気よりも気温減率が大きいため、下降する空気は上昇時よりも速いペースで温度が上がり、雲が消える高度はできた高度よりも高くなる。また、高い山や前線の場合、空気塊がずっと上昇していくと、雲のもととなる空気中の水蒸気量(≒混合比)が低下して、高度が高くなるにつれ、上昇してもできる雲は薄くなりやがてできなくなる。
  2. 周囲よりも相対的に軽い空気が浮力によって上昇して起こるもの。
    • 夏の昼間のように、地面付近の気温の上昇幅が大きい場合には、温まった空気の浮力が増して雲ができやすくなる。普通は浮力を抑える力が働くが、大気の成層状態が不安定(成層不安定)であると起こりうる。特に、積乱雲の成長時に空気塊が自由対流高度(LFC)を超えると、浮力のみで空気が上昇して積乱雲が発達する。
  3. 大気の振動によって起こるもの。
    • 大気中にはさまざまな要因で発生する大気波というものがある。このうち、波長が数百m以下と短いものは直接的に大気に働きかけ、空気を上下に動かして、上昇の際に雲を発生させることがある。波長が数十km以上のものは、次項で述べる収束を発生させることがある。
  4. 収束に伴って発生した上昇気流によるもの。
    • 周囲より気圧が低い低気圧に向かって空気が集まり、上昇気流となって雲を発生させる。上昇気流自体は観測できないほど遅い速度であるが、他のものに比べて上昇気流のスケールが桁違いに大きいため、広範囲で雲を発生させる。低気圧の発生原因は、大規模な成層不安定、波長の長い大気波など。低気圧以外には、収束線(シアーライン)などがあり、これも原理は同じ。赤道付近で年中雲が発達しやすいのは、熱帯集束帯の影響で年中低圧だからである。
  5. 空気塊の上昇を伴わない冷却によるもの。
    • 空気の流れが無く安定していて、ある程度湿った空気が放射冷却などで冷やされると、地表付近に雲ができる。晴れて寒い日の早朝に発生するが典型的な例。
  6. 加湿によるもの。
    • 同じ温度の空気でも、湿度が(≒混合比)が上昇すると、露点温度が上がり、雲ができやすくなる。これは加湿単独ではなく、1~5のような気流の移動とセットになって初めて雲ができる。前線の周辺に台風や低気圧が接近すると雨が強まるのは、雲のできやすくなっている部分に前線から湿った空気が供給され、雲ができやすくなり発達するためである。湿暖気流(湿舌)が梅雨前線に接近したときも同様。

人工的な雲の製造[]

小規模なものであれば、雲を製造することは容易であり、理科実験や身近にできる科学実験として、広く行われている。

密閉可能な容器の中を少し濡らし、線香などの凝結(固)核を充満させて密閉し、ポンプなどで気圧を下げると、減圧冷却によって中の温度が露点を下回って凝結(固)をはじめ、雲ができる。

熱湯から立ち上る「湯気」、ドライアイスから流れ落ちるような白い冷気、冬の寒い日に白くなる吐いた息、工場や排気などから出る白い蒸気なども、人工的に作ることができる雲だといえる。

また、普通の雲に比べて粒が大きい、霧吹きで作る水滴でも、風をうまくコントロールして空中に浮かべることができれば、雲だといえる。

ただ、雨を降らせるような大規模な雲の製造は容易ではない。現状では、ヨウ化銀などの凝結(固)核を大量に散布することで雲の素をつくる「雲の種まき」が実用化の限度となっている。しかも、「雲の種まき」においても空気中の水蒸気が過飽和あるいはそれに近い状態になければ雲はできにくく、条件も限られる。

雲の種類[]

基本の雲[]

雲は、その形状や高さにより以下のように分類される。

雲の分布の概念図
分類 定義・条件 通称・特徴
層状雲 上層雲 巻雲 高度6000m以上、温度-25℃以下 すじ雲(以前は「絹雲」と称した。)
巻積雲 うろこ雲 、さば雲
巻層雲 うす雲、太陽や月の暈の原因
高層雲 高度2000~6000m おぼろ雲
高積雲 ひつじ雲
下層雲 層積雲 高度2000m以下、温度-5℃以上 かさばり雲 くもり雲(団塊状の雲)
層雲 高度300~600m きり雲(灰色~薄墨色の雲)霧雨の原因となりうる。
乱層雲 雨雲、連続したを伴う。
対流雲 積雲 高度600~6000m わた雲 むくむく雲 晴れた日にあらわれる。上面がドーム形、下面が水平。
積乱雲 最大高度12000m 雲、いわゆる入道雲。かなとこ雲

世界気象機関は、雲を10の基本形と数十の主・変種・副変種に分類している。雲には多くの俗称があるが、混乱を避けるために学術分野では呼称が統一されている。詳しくは雲形を参照のこと。

特殊な雲[]

対流圏以外にできる雲として、以下のものがある。

雲の色[]

一般的に、雲は可視光線)を反射しやすいため、く見える。これをミー散乱と言う。しかし、雲の厚さや内部の雲粒の密度、太陽光の角度によってさまざまな色に見える。

白い雲は、粒が小さな雲粒が比較的混み合って密に浮かんでいる状態のため、太陽光の反射率が高いために白く見える。そのため、白い雲は雨粒があまり成長していないことになり、雨が降ることは少ない。

積雲や層雲などは、鉛直方向に発達し厚みを増し雲底付近が次第に暗くなる。これは、雲を構成する水滴や氷晶などの粒子は可視域の太陽放射をほとんど吸収しないのだが、これらの粒子によって雲内部で主に散乱多重反射及び屈折され雲底付近に至るまでに、エネルギーがかなり減少してしまう為である。

雲と気候・地球[]

大気汚染によるエアロゾルなどの増加により雲の量が増加して、地球薄暮化が引き起こされると考えられている。

雲は地球の表面を覆って太陽光を吸収・反射し、地球をある程度冷ます役割をもっている。雲の厚さ、雲粒の大きさや形状などによって吸収率や反射率は異なる。特に反射率(アルベド)については、その変化が地球全体の太陽光の吸収率を大きく左右し、気候に影響を与える。

地球以外の雲[]

大気を持つ太陽系惑星のほとんどでは、地球と同じように雲が発生する。金星硫酸の雲、火星木星土星アンモニアなど、天王星海王星メタンでできた雲がある。また、土星の衛星のタイタンにもメタンの雲らしきものがあることが分かっている。

関連項目[]

ウィキクォート
ウィキクォートに関する引用句集があります。
ウィキメディア・コモンズ

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出典・参考[]

外部リンク[]